町田まわるまわる図鑑 〜パリコレッ!ギャラリー・アーティストインタビュー~ <旅人・イラストレーター:キン・シオタニさん>

開催:2020年9月9日(水)

<旅人・イラストレーター:キン・シオタニさん>

今月から、月イチでアートが楽しめる「パリコレッ!ギャラリー」がいよいよスタートします。
第一弾のアーティストは、町田パリオでもお馴染みのキン・シオタニさん。
9/25(金)より「にじみドローイング展」がスタートします。
旅人・イラストレーターのキン・シオタニさんにお話を伺いました。

   
■キンさんは、旅人・イラストレーター・詩人など、様々な顔を持っていますが、それぞれその道に進んだきっかけを教えてください。
旅人は中学1年の時からやってました。その後、クリス・モズデル(YMOなどの作詞で知られるイギリス人詩人)と出会い、詩人を目指し、やめ、絵描きになりました。詩人を目指すのをやめた理由は色んなとこで話したことがありますが、ある編集者の人に「詩人は食えるようでは失格」と言われ、高尚すぎると思ったのです。その翌日から絵を描き始め、なんとかうまいこと行きました。
   
    
■ちなみに現在の職業についていなかったら、何になっていたと思いますか?
なんだろう? 考えたことないです。うーん、わからないです。というか、今の職業も便宜上「イラストレーター」とは名乗ってますけど、他のこともやってるし、職業って感じはないんですよね。
 
   
■現在に至るまでのキャリアはどのように積まれましたか?
自分で勝手に描きためていた絵でポストカードを作り、販売したことが始まりです。色んなお店が置いてくれて、そこから色んなことが始まりました。
   
   
■長いタイトルのポストカードやキンさんが発する言葉が独特でとても印象的ですが、タイトルを決めてから絵を描きますか?先に絵を描きますか?
以前、定期的にポストカードを出していた時には、作品をたくさん作っていて、タイトルはタイトルで書きためておいて、絵は絵で描いて、締め切り前に両者をマッチングさせるという手法をとったりしてました、絵と全然合わないタイトルみたいになって面白かったです。今もそうすることもありますが、絵を見て自然とタイトルが決まることもよくあります。

左:家に帰ればカレーがあると思う青年
中央:人生という限りある時間の中から永遠を見つけようとする青年
右: 恋人に告げずに旅に出る女とそのことに無関心を装おう春の月

■キンさんは、たくさんの街を歩かれていますが、キンさん流の散歩・旅のコツを教えてください。
永六輔さんの言葉で「知らない横丁の角を曲がれば、もう旅です」という名言があるんですが、それが全てだと思います。その言葉に影響されたことを生前の永さんのラジオに出させていただいた時、伝えて感謝したことがあります。
 
   
■町田パリオの懸垂幕に描かれた「まちだはまちだ」 がとても話題になりましたが、「まちだはまちだ」の意味を教えてください。また、キンさんから見た町田の魅力は何ですか?
初めて町田に来た時は、街の規模が僕の住んでいる吉祥寺より大きくてびっくりしました。街も歴史があり、住んでいる人も面白くて大好きになりました。その歴史を調べてみると、神奈川や横浜との繋がりが強く、東京でも神奈川でもない(東京なんですが)、町田は町田という独特な位置と、町田は都会だ、という意味を込めました。
   

 
■では、ここからは、まちだはまちだプロジェクトのスタッフが気になっている7つ質問を!
キンさん=ボーダーシャツのイメージが強いですが、ファッションのこだわりは?

ボーダーシャツはすごく持ってます。セントジェームスというブランドのものをよく着ます。まあ何でも着ますけど。僕は吉祥寺なんで、街のヒーローの楳図かずお先生が赤白のボーダーなので、僕もそれを受け継ごうと思いました。先生にその話をしたこともあります。ファッション的には、着やすいもの、丈夫なもの、そしてかわいいものが好きです。
 
   
■尊敬するアーティストを教えてください。
好きなアーティストはたくさんいるんですけど、尊敬となるとちょっと思い浮かばないかな? どのアーティストも全部好きなわけではないし、なんていうんだろうな? 立川晴の輔(落語家)や重富さん(テレビ番組「キンシオ」初代プロデューサー)も尊敬しているし、パリオのオーナーの中村さんも尊敬してます。そうね、アーティストや偉人は自分で直接あってないので、尊敬できるまでいかないのかも? むしろ、自分が知っている人の方が、その人の人柄や仕事の態度を尊敬することが多いかな?
   
     
■人生100年時代ですが、40年後の自分は?野望はなんですか?
町田にアトリエを作って吉祥寺と行き来したいです。
 
   
■世の中で一番美しいものは?
子供の心ですかね。
   
   
■キンさんにとってアートとは?
自分を忘れて没頭できるものですかね。
   
   
■今はまっているものや気になっているものを教えてください。
にじみドローイングです。
   
   
■コロナ禍で感じたこと、思ったことを教えてください。
コロナの時は、旅先の鹿児島、枕崎で緊急非常事態宣言が出され、仕事が全て止まってそのまま2ヶ月枕崎にいました。僕も大変でしたし、今もそうですが、まあ人生スゴロクの「一回休み」みたいなものだから、今できることをしようと逆にのんびりしました。「にじみドローイング」もその時にやってみようと思いました。

 
■今回の展示会について伺います。
「にじみドローイング」を描こうと思った経緯を教えてください。

今話したようにコロナですることがなかったんで、何か実験的な絵でも描こうと思い、色々描いていたんですが、部屋を探したら、インク、つけペン、トレーシングペーパーが出てきたので、これでできる絵を描こうと思いついたのです。
 
   
■
新しい手法について教えてください。
インスタグラムで「#にじみドローイング」で検索すると僕の絵しか出てこないんですが、この手法は僕が考えたものではありません。英語では"Blotted Line"と言って直訳すると「しみ線」ということになりますが、いまいちピンとこないので「にじみドローイング」と呼んでます。この手法は、60年代のポップアーティストのアンディ・ウォーホルから学びましたが、彼も大学の授業で学んだらしいので、前からあった手法だと思います。トレーシングペーパーに描いた絵を画用紙に写すやり方で、これは実演を見ないとわからないと思うので、ぜひイベントにきてください。オンラインでもやります。

   
今後チャレンジしたいことを教えてください。
まだこの「にじみドローイング」で自分にとって100点満点みたいなのがないので、もうちょっと試行錯誤してみたいです。今回の展示では、最初に描いた作品から搬入日ギリギリにできたやつも含めて、初めて挑戦した画風の進化、あるいは進歩が見られると思います。気に入っているのもたくさんありますが、この画風がどこまで進むのか自分でも楽しみです。
 
   
最後に来場者へのメッセージをお願いします。
というわけで、みなさん、にじみドローイングの進化、一緒にみてください。これからも飽きるまで描いていくと思いますが、飽きるまでの期間限定の作品だとも思うので、その熱いうちの作品は、自分にとっても大事なので、ぜひみてもらいたいです。そしてお気に入りの作品があったら、今回は販売はしないと思いますけど、ぜひいつか手に入れてくださいね(笑)。これからもよろしくお願いします。会場で、オンラインで、お会いしましょう!

キン・シオタニ プロフィール

イラストレーター、文筆家。英国詩人、クリス・モズデルに師事。「長い題名ポストカードシリーズ」で注目され、著書をはじめ、教科書の表紙、テレビ、雑誌、映画、書店のブックカバーから、井の頭公園での路上販売まで、表現のメディアを選ばない。最近は「ドローイング シアター」という独特のパフォーマンスを 国内外で行っているほか、自分の歩いた街を語る『さんぽライブ』を各地で開催している。tvkの散歩番組「キンシオ」も好評オンエア中。

▶︎ホームページ

パリコレッ!ギャラリー vol.1
キン・シオタニ presents
「にじみドローイング展」

町田パリオがオススメする
アーティストの月イチアート展シリーズ第一弾!

今日まで筆ペン、版画、アクリル画、エアブラシ、鉛筆画など、
様々な手法で絵を描いてきたキン・シオタニが新しい技法で作品を発表。
「Blotted line」というにじみを活かした手法でまた新たな表現を試みる。
7月に最初に描いた作品から、9月まで、試行錯誤に満ちた全作品を展示する。

日付:2020年9月25日(金)〜10月4日(日)
時間:11:00〜18:00(最終入場17:30)
会場:3F ギャラリー・パリオ
入場無料

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パリコレッ!ギャラリーvol.2
アーティストインタビュー
油彩画 / リトグラフ:八木原由美

女性美を描く画家「八木原由美」のインタビュー。
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作品の魅力を掘り下げます。

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