まちだをふりかえる その2. 〜相原・古着屋・きっかけ〜

開催:2017年6月20日(水)

こんにちは。
いつも町田にいるキタムラです。

前回は町田の大先輩に、昭和50年から現在までのお話を伺うことができました。
今回は、ここ最近の5年10年を振り返るつもりで、同世代のおふたりを訪ねました。
場所は、町田駅から横浜線に乗って橋本駅のひとつ隣、町田の北西部「相原」。
お相手は、古着と雑貨のお店「Relache ルラーシェ」さんです。

同じ街にいて感じたこと、気付いたこと。
身近なことから、地元の時間に向き合っていけます。

「Relache ルラーシェ」

幾度かの引越しを経たおふたりが、友達の家を訪ねたことがきっかけで知った相原。
自然の多さとゆったりした空気感が気に入ってしまい、店の開店とともに自宅も引越し。
今では、すっかり馴染んでしまったとのこと。
お店のオープンは5年前。東口を出てコンビニのすぐ隣。
階段を登ったその先に広がる店内には、海外古着と雑貨に混じって、レコードや音楽関連の古書も見受けられます。
ご主人はお店と並行して音楽活動も続けています。

古着と雑貨。レコードと古書。

最近の町田ってどうですか?

ルラーシェ「古着屋はやっぱり一時期よりは減りましたね。学生たちがあまり買い物しなくなったのかな?でも相原は、あんまり変わらない印象です。コンビニが増えたり、2年前には駅前のロータリーや道が新しくなりました。畑のあったところが住宅に変わることもあります。だけど、相原のひとはみんなのんびりマイペースなんです」

相原ってやっぱり住みやすいですか?

「地元の方々ももちろん多いですが、自分たちみたいに町田以外から来て住み慣れていくひとたちも多いですね。大学のために地方から出てきた学生は、家賃の安さで相原を選ぶことが多いみたいです。都会のにぎわいはないから若いひとには物足りないかもしれないけれど、実家と変わらないから馴染みやすいという話も聞きます。冬は寒いですけどね。
学生の頃に住んでいた人たちが帰ってくることもあります。自然が多いので子育てする方々にも人気です。駅前にはスーパーもあるし、16号まで出れば大きなお店もあるんです。自転車があれば不自由しないんですよ」

居酒屋やパン屋さんなどいろんなお店がありますね。
以前は本屋さんもあったんですか?

「うちの並びにあったみたいですね。近くには学生たちのギャラリーもありますよ。もう10年経つのかな」

あのギャラリーの近くの看板気になりますよね。

「ファミコンショップの!お店出した頃にはもう看板だけになってたなぁ」

二階建て以上の建物があまり目に止まらない相原の街並み。
坊やのパネルが気になって近づくと、すぐそばに手作り野菜が販売されていました。

小さなお店の多い相原ですが、仕事や学校で忙しくて地元と関わる機会のないひともたくさんいます。それは町田駅前と同じ。ですが、変わり続ける駅前と、穏やかな相原という対比は特徴的でした。変わることもあるけど、変わらない。
それは生活に寄り添うような時間の流れです。

「街も変わるけど、自分の見方の方が変わったのかな。最近ね、街中を歩いていても自然と話すようなきっかけが増えたんですよ。20代の頃に初めて会った音楽ライターの方と、ラーメン屋の前でばったり再会して話したんです。連絡先も交換して。
初めて会った頃はまだブルースを知らなくて、有線で流れる曲をひとつずつカセットテープに録音していました。だけど名前も曲名も分からない。その方のところに持っていくと、ラジカセに耳を当てて聴いて、少しずつ教えてくれたんです。あれがあったから今の演奏があるんだって思います」

他にも自宅の裏の畑で野菜作りを教えるよというお誘い、お隣の居酒屋さんとの会話、お店を訪ねてくる学生たち。そんな風につながる縁がこの街にはあります。

「町田で生まれたわけじゃないけど、やっぱり町田が好きだなぁ」

町田駅前でもそんな縁はあります。
だけど慌ただしい変化に、ひとりひとりの存在がどこかに流されてしまうような不安を感じていました。つながるはずの縁はもっとある、そんなことを同世代のひとたち、同じ街に住むひとたちにどうやって伝えたらいいんだろう…。

「焦らなくていいんじゃないかな。そういうのって教えられるものでもないしね。ひとはひと、自分は自分って言うと冷たいけど、みんな感じ方は違うんだから。好きなように楽しんでいると、自然ときっかけが生まれてくると思うんです。そのためのきっかけだけなら作ることはできる。だからどんな時でもまずは楽しもうって思っています」

相原駅、東口駅前。

最後に新たなきっかけをひとつ教えてくれました。

「梅雨が明けたら、朱雀路ってところに行ってみて。平安時代の人たちが窯焼き場に働きに通った道なんだって。昔から変わってないんだろうなっていう綺麗なところなんです。」

変わっていくことを嘆いたり、変わらないように無理したりしなくても、目の前のことを大切にできるなら、「変わるけど、変わらない」時間を過ごせるのかもしれません。

春の朱雀路。

朱雀路の木陰にたたずむルラーシェのおふたり。
育ってきたひまわりの大きさに驚くご主人。

朱雀路から丸山団地に抜ける途中に、トマトが栽培されていました。まだ青い実が鈴なりに。

「ルラーシェ Relache」
東京都町田市相原町1158-5 2F
営業時間:13時〜19時半
※現在は不定期営業。Twitter(@Relache1158)にて営業日のお知らせあり)
▶︎ホームページ

文・写真 北村友宏
写真提供 ルラーシェ Relache