まちだをめぐる 〜自分を創ったばしょ・もの・ひと〜 第3輪

開催:2018年12月15日(土)

こんにちは!
まちだはまちだプロジェクトの塚原です。

まちだをめぐる 〜自分を創ったばしょ・もの・ひと〜
第3輪は、前回のインタビュイー陶芸作家:椿敏幸さんが紹介してくださった人物
「塩澤珠江(しおざわたまえ)さん編」をお送りします!

椿さんが塩澤さんに影響を受けたところは、塩澤さんの博学、好奇心、実行力だそうです。
「塩澤さんにお会いするたびに、敬服しています!」と、語ってくれました。

椿さんと塩澤さんは、玉川学園町内のギャラリーつながりで出会ったそうです。
椿さん手作りのカラスミと、塩澤さん手作りのロースハムの交換をしたことも。
第1輪で紹介した「絵画造形アトリエ アトリエ・アルケミスト」に塩澤さんのお孫さんが通っていたころはお互い交流はありませんでしたが、ここ数年で、色々な場所での出会いが増えたということです。

季の風の玄関です。素敵なランプでお出迎えです。

塩澤さんは玉川学園で「ギャラリー 季の風(ときのかぜ)」を主宰しています。
玉川学園前駅から徒歩7分ほどの場所にある、レンガ造りの素敵なギャラリーです。13年前から始めたギャラリーは企画展専門でしたが、今年からレンタルスペースも始め、玉川学園をはじめ近隣の方々の発表の場となっているそうです。
また、ライブやコンサートも開いて、ギャラリーを越えた場所となっています。

玄関正面の絵は塩澤さんが中国で購入した「上海農民画」。蓮の実の収穫が描かれています。

塩澤さんは「蓮と蓮文化の研究」を30年来取り組んでいます。
「アジア蓮楽探求会」の主宰と「日本蓮学会」(任意学会)で事務局も務めています。
塩澤さんと蓮との出会いは46歳の時でした。
「投げ入れ花」を習い始めて1年目、流派生け花ではベテランしか習えないと言われている蓮を生けさせてもらえたこと、
それが最初の出会いでした。
※投げ入れ花…茶花を原点とする自然のままの風姿を保つように生ける花。

また同じ年の冬にも、枯れた蓮の葉とバラをいけるレッスンがありました。
習っていた先生が茶の湯の精神と詩情を大事にしていて、蓮をいけたことがとても楽しく、
そこから蓮に興味を持ち始めたのだそうです。
同じころ、写真家・蓮文化研究家の三浦功大氏(故人)が中心になり「蓮文化研究会」が発足されたことがきっかけで、
塩澤さんは蓮の文化にも興味を持つようになりました。
塩澤さんは当時、港区に住んでいましたが、町田市玉川学園に越してから本格的に蓮に興味を抱き始めたそうです。

町田に越すと決めたきっかけは2つあり、
ひとつは、亡くなったお父様が玉川大学演劇科で舞台美術を教えていたこと。
もうひとつは町田が“福祉のまち”であったことでした。

塩澤さんが制作した本物の蓮の葉をつかった作品。今年の異常な暑さで緑と赤に枯れた葉。
塩澤さんも初めて見た現象。蓮にちなんだ文字を消しゴムハンコで彫り、貼り付けたもの。

町田市「大賀藕絲館」(おおがぐうしかん)は、下小山田町にある就労継続支援施設です。
およそ13000㎡もの蓮田があり、そこで取れる蓮を作業材料として、
知的障がいを持っている方が製品を作り販売をしています。

「大賀藕絲館が作られた30年以上も前から、町田市は障がいを持っている人への支援が進んでいた」と塩澤さんは語ります。
塩澤さんのご兄弟には障がい者の方がいて、
障がい者を“慣れている人”と“慣れていない人”では反応が全く違うことを身をもって知っていました。
「障がい者に慣れている人がたくさんいる、あったかい街に越したい」という塩澤さんとご家族の思いがあり、
町田への引っ越しが決まりました。

町田に越してからは、蓮で調べたいことがあるとすぐに大賀藕絲館に行けるため、
塩澤さんは蓮の魅力にますますハマっていったそうです。

本棚には蓮の本がずらり。蓮の花粉が入った瓶もあります。花粉は滋養強壮になるそうです。

町田に越してきた塩澤さんは、大賀藕絲館で蓮の茎をとるボランティアに参加しました。
その後大賀藕絲館で作られた蓮の製品と、蓮の花を田んぼで切って販売する「蓮まつり」もはじまり、田んぼで蓮の生態の説明をするボランティアもして、現在も大賀藕絲館との関わりが続いています。

ギャラリーには素敵な家具がたくさん。

塩澤さん自身が、町田のまちに関心が強くなったのはここ数年のことだそうです。
3年前、玉川学園にある「芝生の会」(しばおの会)と「街づくりの会」に参加してからは
“これからもずっとこのまちに住んでいきたいよね”
“もっとより良いまちにしたいよね”
という思いが強くなり、町田のまちの活動に関心を持つようになりました。

町田の良いところは、やはり「あったかい街」であることだ、と塩澤さんは言いました。
そして「街も自然も混在しているのが面白い」とも。
元々は都心に住んでいた塩澤さん。同じ東京でも全然違う雰囲気が町田にはあるのかもしれません。

蓮の葉が描かれた湯飲み、蓮の果托でできた茶托(大賀藕絲館製)、蓮の葉モチーフの小皿、左の瓶には蓮の花粉が入っています。

インタビュー中には、ベトナムの蓮の花茶と甘納豆をいただきました。
塩澤さんの蓮の知識量には驚かされることばかりで、蓮に対する熱い想いがひしひしと、伝わりました。
塩澤さんとお話することが楽しく3時間以上もお邪魔してしまったのですが、それでもあたたかく迎えてくださいました。

また今度お邪魔したいな、そう思える場所とあたたかい塩澤さんのお人柄がとても沁みた大切な時間になりました。



次回の「まちだをめぐる〜じぶんを創ったばしょ・もの・ひと〜」は、
まちだで出会った「塩澤さん自身を創ったばしょ・ひと・もの」をご紹介します。
お楽しみに!

(文・写真 塚原結友)